変形と痛みの関係性
思い当たる節はないけど、最近膝が痛むことが増えた、動きが悪くなった、膝が曲がってきたなんてことはありませんか?
変形性膝関節症は原因が断定できないものが多く、 生活習慣 、 年齢 、 肥満 によるものが大半を占めます。そして、 膝関節 はストレスを受けやすい構造をしています。つまり、この痛みや変形には日常生活でかかるストレス(関節への負担)が関係しやすく、気が付かないうちに進行してしまう場合が多いのです。
それでは、変形性膝関節症とストレスを減らすためのポイントについて詳しく見ていきましょう。
症状と所見
・疼痛病初期は膝の内側の 運動開始時の痛みやこわばり が特徴的。進行してくと動作中も痛みを訴えるようになり、歩行、階段昇降、しゃがみ込み、正座などで痛みが出現する。
・可動域制限
膝の曲げ伸ばしが行い辛くなる。階段昇降、しゃがみ込み、正座などの 日常生活動作が難しくなる 。
・膝関節の腫脹
二次性滑膜炎(膝関節の炎症) による 関節液の貯留(水が溜まる) により関節が腫れてくる。
・関節変形
進行すると、膝内側の関節軟骨の摩耗などにより、 膝の内反変形(O脚) が著明になる。
・レントゲン診断
関節裂隙の狭小化(関節の隙間が狭くなる)、骨棘の形成(棘のように骨が突出する)、軟骨下骨の骨硬化像(画像1)などを認める。
画像1 変形性膝関節症のレントゲン画像
引用:病気が見えるvol.11 運動器・整形外科 第一版 P401
治療
保存療法で改善が見られず、日常生活にも支障をきたす場合に手術を行います。
・保存療法
保存療法では、薬物療法、理学療法が主に行われます。
最初にも述べたように膝関節はとてもストレスに弱い関節です。ですので、膝にかかるストレスを減らすことが大切です。そのために以下の2点に着目して理学療法を行うことが多いです。①膝関節の動きが悪く、ストレスを受けやすい状態の改善②股関節や足関節などの他の関節から受けるストレスを減らす。
具体的には、 日常生活での注意すべきポイント (体重のコントロール、正座や階段など膝関節への負担がかかる動作の制限、杖などの使用、どのような運動をしたらよいか)をお伝えします
また、 関節の中で炎症が起きている場合 は、 薬に頼って痛みを取り動かしやすい状態を作ることも大切な治療 になります。
・手術療法
「人工関節」という言葉を聞いたことがあると思います。実は、人工関節以外にも膝の手術があります。それが、関節温存術です。 変形の進行度や病態、年齢などに応じて医師が手術の方法を選択します 。人工関節は耐用年数があり、激しい運動には向かないため、若年者では関節を温存する場合が多いです。
何をしたらいい?何をしたらダメ?
ここまで変形性膝関節症について詳しく見てきましたが、変形性膝関節症になったら何をしたらいいの?予防するには?など様々な疑問があるかもしれません。最初にも述べたように、原因がはっきりしない場合が多く具体的な解決策は個人差が非常に大きいため、ここで書き切るのは非常に困難だということをご理解していただきたいです。
ですので、ここでは何をしたらダメかをお伝えしたいと思います。
「運動しましょう」という言葉を聞くことが多いと思いますが、 痛みがある時の「関節運動」は推奨されません 。ここで避けてほしい「関節運動」は 膝が曲がって、体重がかかる動き です。具体的には、階段の昇り降り、深くしゃがむ、正座などです。
もちろん体重のコントロールや健康的な生活習慣を身につけるための「運動習慣」は非常に大切なので、痛みを助長しない範囲で行ってください。より具体的なアドバイスなどは一度当院へご相談ください