骨粗鬆症ってどんな病気?

骨粗鬆症は「骨質」と「骨密度」の低下による 「骨強度」の低下 を特徴とし、 骨折の危険性が高くなった状態 (骨が脆く、スカスカな状態)です。中でも 背骨 (脊椎の圧迫骨折)、 ももの付け根 (大腿骨頸部骨折)、 手首 (橈骨遠位端骨折)の骨折が多く見られます。

 

特に高齢者の骨折は日常生活への影響が大きく、活動量の低下を引き起こし、 健康寿命を阻害する要因 となります。さらに、骨粗鬆症による 背骨の弯曲(いわゆる猫背) が、 内臓機能の低下 を引き起こす要因にもなります。具体的には、胸やけ、お腹の張り、食欲不振、便秘などの 消化器症状 、動悸、息切れなどの 心肺機能の低下 を招く恐れがあるため、 予防と治療がとても大切 になります。

 

骨粗鬆症は痛みなどの 自覚症状を伴わない場合もあります 。そのため、 自分では気づきにくく、定期的な検診が大切 になります。「最近身長が縮んだ」、「背中が丸まってきた」、「身体(特に背骨)が動かしにくくなってきた」など、お心当たりのある方は特に注意が必要なので、お近くの整形外科への定期的な検診をお勧めいたします。

 

なんで骨が脆くなるの?

骨も細胞と同じように、代謝をしており 常に新しく作り替えられています (骨リモデリング)。 古くなった骨は壊され( 骨吸収 )、新たに骨が作られます( 骨形成 )。 この バランスが崩れる(骨吸収>骨形成) と骨質の劣化と密度の低下が起こり、 骨が脆くなります 

 

それでは、このバランスが崩れる原因を見ていきましょう。 骨粗鬆症は大きく分けて、①原発性骨粗鬆症②続発性骨粗鬆症の2つに分類されます。

 

①原発性骨粗鬆症

 閉経及び加齢的要因  遺伝的要因  生活習慣 によるものとされています。閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下、加齢、生活習慣の悪化(食生活の乱れ、運動習慣の低下、喫煙、過度のアルコール摂取など)により、骨質の劣化、骨密度の低下を招きます。

 

②続発性骨粗鬆症

閉経及び加齢的要因、遺伝的要因、生活習慣以外に 特定の原因が認められるもの とされています。特定の原因をさらに分類すると内分泌性、栄養性、薬物性、不動性、先天性、その他に分けられます。具体的には 甲状腺機能亢進症  糖尿病  慢性腎臓病  慢性閉塞性肺疾患  関節リウマチ  ステロイドの長期使用  胃の切除など が挙げられます。

 

骨粗鬆症の検査

 

骨粗鬆症は自覚症状に乏しく自分で気付きにくい病気です。骨粗鬆症の早期発見、予防が必要な人を見つけることが検査を行う非常に大切な役割になります。定期的な検診をお勧めしているのもその為です。また、当院では①骨密度の測定②血液検査をおこなっております。

 

①骨密度の測定

骨密度の測定にはDEXA (Dual Energy X-ray Absorptiometry )を使用しています。 簡単に説明すると、二方向からレントゲンを当て骨密度の測定を行う機械です。ですので、レントゲンと同様に撮影部位に 金具やボタンのついた服装での検査が行えません ので、着替えをお願いすることがあります。撮影部位は骨折の多い背骨(腰椎)とももの付け根(大腿骨)で行います。
 

②血液検査

血液中には 骨を壊す細胞(破骨細胞)  骨を作る細胞(骨芽細胞) がどのくらいあるかの指標となる骨代謝マーカーと呼ばれるものがあります。ですので、血液検査を行うことで 自分の骨吸収と骨形成のバランスが崩れていないかを知る ことができます。
 

骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症の治療は①食事療法②運動療法③薬物療法が主な手段です。そして、続発性骨粗鬆症などの原因疾患がある場合は、 原因疾患の治療 も必要になりますがここでの詳細な説明は省かせていただきます。

 

①食事療法

骨を作る成分として カルシウム(乳製品など) が必要なのは一般的に広く知られていると思いますが、カルシウムのみだと体内に吸収されにくいため、 ビタミンD (魚類、きのこ類) もあわせて摂取することが大切になります。ビタミンDの合成を促進する為、 日光浴も推奨 されています。また、 ビタミンK (納豆、緑色野菜) には骨吸収を抑える働きがあります。その他に タンパク質(肉、魚、卵など)  マグネシウム(海藻など)、  ビタミンB6  ビタミンB12  葉酸(野菜、果物) などの摂取量が少ない場合。これらの栄養素の摂取も推奨されています。   また、 カフェイン(コーヒーや紅茶)  リン(インスタントなどの加工食品)  塩分(食塩)  過剰摂取  喫煙  過度の飲酒 にも 注意が必要 になります。具体的な食事内容については個人差が大きいため医師などの専門家にご相談ください。

 

②運動療法

 有酸素運動  ウォーキング  筋力トレーニング などにより 骨密度の上昇(維持)に効果がある との報告があります。また、 抗重力筋(背筋や下肢の筋肉)の強化  転倒予防を目的としたトレーニング を行うことで骨折などの 合併症の予防にも効果的 とされています。具体的な運動強度については個人差が大きいため医師などの専門家の指導のもと行うようにしてください。
 

③薬物療法

薬の種類には カルシウム薬  女性ホルモン薬  SERM  活性型ビタミンD3薬  ビタミンK2薬  カルシトニン薬  甲状腺ホルモン薬  ビスホスホネート薬  デノスマブ など様々な種類があり、症状や原因、薬の飲み合わせなどを医師が総合的に判断し処方いたします。また、治療の効果判定に骨密度の検査を定期的に行うことが必要になります。
 

骨粗鬆症の予防

前提として 骨粗鬆症は予防がとても大切な疾患 です。 予防の延長線上に治療がある ことをイメージしてください。そして、 予防できる項目(主に生活習慣)  予防できない項目(加齢、性別、遺伝的要因) に分けられます。そのため、生活習慣の改善(食事と運動)について説明していきます。予防の延長線上に治療があり、食事や運動の内容は重複する部分が多いので省略します。

 

今までの説明の中で高齢になってから気をつければいい病気と思っていませんか?
実は、 若年層からの運動習慣が予防に高い効果がある ことが報告されています。成長期は骨が成長する時期であり、およそ20歳で骨密度は最大になります。この時期に、偏りなく栄養素を摂取し、適度な運動を行うことで骨が成長し骨強度の増加に繋がります。 若いうちに高い骨強度を確保 しておくことで、高齢になり骨強度の低下がみられても骨粗鬆症の発症を遅らせることが可能になります。

 

まとめ

・骨粗鬆症は骨の代謝のバランスが崩れて骨が脆くなる病気
・自覚しにくい病気のため、お近くの整形外科での定期的な検診が重要
・主な原因は加齢(閉経)や生活習慣によるものが多く、特定の疾患などが原因になるものもある
・予防と治療には生活習慣(食事と運動)の改善が大切であり、成長期からの運動響する

  そのほか、気になることなどございましたら当院へ一度ご相談ください。