腰痛に悩まされた経験はありませんか?

腰痛とは?

腰痛を訴える方は、会社員、主婦、高齢者、スポーツ選手など老若男女問わず非常に多く、日本人勤労者を対象とした研究では生涯有病率は8割を超える とされています。


「腰痛」とは…

・(1)脊椎由来、(2)神経由来、(3)内臓由来、(4)血管由来、(5)心因性、(6)その他に定義される。具体的な原因は以下の3つに大別される;重篤な基礎疾患(悪性腫瘍、感染、骨折など)、下肢の神経症状を併発する疾患、各種脊椎構成体の退行変性病変(椎間板、椎間関節変性など)

・急性腰痛(発症から4週間未満)、亜急性腰痛(発症から4週間以上、3か月未満)、慢性腰痛(発症から3か月以上)の3つに大別される。

と定義されています。(※腰痛診療ガイドライン2019より一部抜粋)


ここで大切なのは、 ①重篤な基礎疾患等を見逃さないこと   ②腰痛を慢性化させないこと  です。
このことについて詳しく考えていきたいと思います。


①腰痛の原因は見逃したらまずい病気かも?

腰痛は症状の総称であり、腰痛を引き起こす様々な疾患があります。


例を挙げると…(1)脊椎由来;脊椎腫瘍、脊椎感染症、椎体骨折、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症、腰椎すべり症、代謝性疾患(骨粗鬆症)、脊椎変形、筋・筋膜性、仙腸関節性、股関節性、脊柱構成体の退行変性病変(椎間板性、椎間関節性)など
(2)神経由来;脊髄腫瘍、馬尾腫瘍など
(3)内臓由来;腎尿路系疾患、婦人科系疾患、妊娠など
(4)血管由来;腹部大動脈瘤、解離性動脈瘤など
(5)心因性;うつ病、ヒステリーなど

以上をみても非常に多岐にわたり、疾患・症状に合わせた治療が必要になります。


特に以下の項目に当てはまる方は、重篤な基礎疾患を患っている可能性が高いため医療機関への受診をお勧めします。


☑発症年齢が20歳未満、または50歳以上
☑悪性腫瘍の病歴がある方
☑長期間にわたるステロイド剤の使用歴
☑最近の激しい外傷歴(交通事故、転落、転倒など)
☑時間や活動性に関係のない痛み(楽な姿勢がない、夜間の痛み、動作と関係ない)
☑広範囲に及ぶ神経症状(しびれ、足が思うように動かない、感覚がない)
☑身体の変形(背骨が曲がってきた)
☑胸の痛み
☑体重減少
☑発熱

さらに、 腰痛は放置してしまうと治療が難渋する例が多くなります。 そのため、以上の項目に当てはまらなくても、 痛み、痺れ、違和感がある場合は早めに治療する  ことが大切です。

②腰痛を慢性化させないためには?

ここでは、重篤な基礎疾患を除いた腰痛をもたらす疾患を治療していく上での原則についてお話します。簡単に言い換えると、 腰の痛みを楽にして生活を送るために大切なこと を説明していきます。


結論から話しますと…
腰痛の治療で大切なことは、 痛みを出さないように生活を送る  過度な安静・活動は控え、適度に運動・活動を行う 。の2点です。
そして、 予防には健康的な生活習慣と穏やかでストレスが少ない生活が大切 です。


その理由を簡単に説明します。
まず、 痛みによる悪循環があります 。(図1)
これに陥ると、症状が慢性化していきます。
慢性化してしまうと先ほども述べたように治療が難しくなる例が多くなります。

そのため、 如何にしてこの悪循環に陥らないようにするのかがカギ になります。
また、 慢性化した腰痛の場合は、如何にしてこの悪循環を断ち切れるかがポイント になります。


つまり、図のような悪循環に陥らない(または断ち切る)ために、 患部に過度な負担をかけずに日常生活をより安心して過ごすことを目標 とします。そのために、 薬物療法(鎮痛薬の処方)理学療法・作業療法(運動療法、物理療法)装具療法(コルセット等)などが第一選択 とされる場合が多いです。


まとめ

腰痛の治療は、 痛み止めやコルセットなどを利用すること  股関節・背骨を中心に全身の適切な運動を促す ことで痛みに対する不安を取り除き安心して日常生活を送ること が大切です。
そして 予防の為に、適度な運動習慣をつけること、十分な休養や栄養を取りストレスや疲労感を抱えすぎないこと が大切です。

具体的な運動内容や日常生活の注意点等は個人差があります。メディアの情報は皆様に当てはまるものではなく、かえって症状を悪化させる場合もあるため、気になる方は一度当院までご相談ください。